旅の記録 1991年10月20日〜26日 LasVegas、SanFrancisco
COMDEX Fall 1991

10月20日(日)

 14:00のNE'Xで成田へ。UA853便が1時間遅れたため、成田で2時間ほど無駄な時間を過ごす。SanFranciscoに12時着。14時のLasVegas便に乗った。これも、Oaklandの大規模な山火事の関係で1時間遅れで出発。機内は半分、日本人のコンピュータ業界のおじさんたち。暑いのに背広を着ていて、席についても脱がない。こちらも同じ穴のムジナなので、SuperASCIIなどを読んで、ビジネスマンする。

 LasVegasのMaCarran空港でもうComdexは始まっていた。InfoWorld誌が雑誌とパンフレットを配布している。「Windows MatchStakes」と題するゲームの説明で、会場のAldus、Corel、Microsoft、hDCなどのブースでスクラッチゲームを行い、マツダの「Miata」というスポーツカーやWindowsソフトウェアが当たるとの事。
 Borlandは、空港でTシャツを配布していた。会場にこのBorlandの広告が刷り込まれたTシャツを着て行くと、旅行クーポンやソフトウェアがもらえるらしい。Tシャツには、「The Leadres in Object-Oriented Technology」とあり、C++、Pascalなどの言語系とObjectVision、dBASE、Quattroなどのデータベース系ソフトの下位インタフェースとして「Borland Object Layer」という統一層があり、その配下にSQL、dBASEなどのデータベースエンジンが描かれている。イーストもデータベースを仮想化するためのインタフェースとして「DataDriver」を考案したが、Bolrandは業界をリードするオブジェクト指向技術により、かなり強力なオブジェクト指向データベース層を構築するのであろう。
 BorlandのPhillippe Kahnは23日に、22日のIBM Jack Kuehler社長、MicrosoftのBill Gateの後を受けて、「CEO方針演説」を行う予定であり、Ashton-Tateの買収によって、Microsoftに次ぐソフトウェア開発会社のポジションを手にいれたようである。

10月21日(月)

 一日中、メイン会場である、LasVegasHiltonとConvensionCenterを見て回った。
 まず驚いたのが、Registration。いつもの厚くて重たいガイドブックといっしょに5インチディスクが付いてくる。ガイドブックがPC-DOSのファイルで入っており、DOSベースのFOLIOという検索ソフト付きである。来年は、これが3.5インチになり、検索ソフトはLotusのSmartTextかMicrosoftのHelpかWinDocになるのであろう。

 入り口、正面のブースには、Lotusと販売会社のMerisel。昨年はここにMicrosoftとIBMが陣取り、共同で"Enter a New,More Visual World"というWindowsとOS/2PresentationManagerの3rdPartyソフトのブースがあった。時がたつのは早いものである。今年は、IBMとMicrosoftで別々に3rdParty用の共同ブースを設けている。つまりWindowsソフトとPMソフトがまとめて見れたが、完全にWindowsの勝ち。場所も良いし、出展者の数は80社と、PMの3倍近いし、客も多くて賑わっている。

 Windowsのブースでは会社名パネルの横に「DevelopmentTools」、「NetworkApplication」、「Multimedia」の肩書きが付いているが、約半数がネットワーク対応であり、マルチメディア対応は数社だった。すべてWindows3.1を使い、さかんに3.1のDrag&Drop、TrueType、NewHelpなどの新しい機能を強調していた。
 Windowsの新しいロゴマークも多数旗めいている。このロゴマーク、本来ならば左から右に流れるデザインのはずが、右から左となっている。東風(こち)が吹いているのだろうか。とれとも右方向を時間軸とすれば、だんだんしっかりしたOSに仕上がりますと云いたいのだろうか。
 80社の半分以上は無名のソフトハウスである。Windowsアプリケーションの開発が難しいためか、有名所でもまだWindowsソフトを出せないでいる会社がたくさんある。逆に、技術力を持った会社がWindowsでビジネスチャンスをつかんでいるようだ。そのせいか、開発用ツールが多い。ツールはプログラマの身近なソフトであり、ビジネスソフトのような高度なMMI(Man Machine Interface)も考えずに作れるからである。

 8月にBostonでWindows&OS/2Conferenceを見てきたばかりなので、新しいソフトは、あまり目につかなかった。Boston同様、LotusとWordPerfectがWindows主体の展示を行っていた。
 Lotusは「Working Together」を合い言葉に、123 for Windows、AmiPro、Freelance Graphics、cc:Mail、そしてLotus Notesにも「for Windows」が付いている。日本で盛んになっているADD-INは、アナウンスされていない。Excelや123 for WindowsのADD-INが日本で多数発表されているが、あんなに作れるはずはない。ファイル互換や、マクロを使ったADD-INならともかく、まともにDDE(Dynamic Data Exchange)を使ったソフトは作るのが難しい。本来のWindowsプログラミングの面倒さに加えて、Excel、123などのサーバ側に渡したコマンドの戻るタイミングが問題となるためで、Lotusもまだ、まともにLotus仕様のWindowsDDEをサポートした他社ソフトを発表できないのであろう。「Working Together」にADD-INが加われば、Lotusの戦略もユーザに歓迎されるはずだ。

 一方のMicrosoftはWindowsブースの80社のほとんどがDDEをサポートしている。どれも、WordかExcelをサーバとしたクライアント側のDDEなので、ユーザから見るとADD-INである。ちなみに、OLEは30社がサポートしていた。これから、LotusとMicrosoftのADD-IN勧誘合戦が始まると思われるが、ソフトハウスに対してDDEのコマンド仕様のみならず、ToolBar、SmartIconなどのメニューライブラリ、ファイルライブラリなど内部仕様の公開が行われるのであろう。

 WordPerfectは5.1のWindows版を展示し、客が集まっていた。Microsoft Word for Windowsでも思うことであるが、OS側でマルチフォントやグラフィックスをサポートしているため、機能を見るとDTPソフトとの差が無くなってきている。
 そんな中でDTPの雄、Aldusのブースが光っていた。「PhotoStyler」というフルカラーのデザインソフトや、PageMaker4.0に添付されているデータベース編集ソフト「PageAhead」など、オリジナリティあふれる新製品を発表している。

 Microsoftの単独ブースも、いつもの場所にあり、Personal市場向けの「Works for Windows」、「Publisher」、「Money」や、「Quick C for Windows」などが新製品として展示してある。
 WindowsNTもIntel版とmips版がそれぞれ、486/75MHz!、R4000/50MHzで動いていた。

 この他、MicrosoftはWindows for Pen Computingでも共同ブースを構えており、SANYO、NCR、NECなど6社が出展していた。アプリケーションは「OnTime for Windows」や「ASCEND」などのシステム手帳のような個人情報管理のソフトが動いていた。この手の軽いソフトがPenでは重宝がられそうだ。対する「PenPoint」のGO社は、会議室で招待者のみのプライベートショウを行っている。PenComputerも、まだまだ大きくて使いにくそうだ。PocketPCくらいのサイズや軽さになってもらいたい。

 新しいWindowsソフトウェアとしては、WANGの「UpWord」が目についた。WordやWordPerfectに互して、どの程度売れるかはわからないが、米国の数少ない「ワープロ」メーカとして、10年以上のキャリアを持っているので、ユーザニーズはつかんでいるし、販売ルートもあるはずである。
 これは売れると思ったのが「The Far Side Computer Calender」。日めくりの卓上カレンダ風のスケジュール管理ソフトだが、楽しいイラストがたくさんはいっている。「AfterDark」同様、ゲーム感覚を持ったビジネスソフトやユーティリティは当分ヒットが続くであろう。
 その他、Windows関連ではWYSIWYGを活かし、SQLをサポートした「Borland ObjectVison」、「PerFORM Pro」、「JetForm」などのフォーム定義ツールや「Multiscope」、「Realizer」などのデバックツールや開発ツール、そしてVisualBasic対応のデータベースツール「ObjectTrieve/VB」なども売れそうである。変なソフトと思ったのが無名の会社が展示していた「Quadbase-SQL/Win」。皆がSQLのユーザ部を作っているのに、この会社はSQL自体をWindows版で提供している。VisualBasicやC++、SmallTalkにも対応しているそうだが、いったい誰が買うのだろう。

 DOSのソフトウェアでは、データベース系が人気があった。FoxPro2.0やdBASE、Paradoxには人だかりができている。ワープロ表計算ソフトのような派手さはないが、不可欠なソフトウェアなのでどこも健闘している。ParadoxはWindows版も参考出品していた。

 ハードウェアに目を転じると、何といってもAppleの新製品がダントツの人気。Quadra900の大きさや、PowerBookのデザインに驚いたり、関心したり。Quadra900は25MHzの68040マシンであるが、ネットワークサーバなどを考慮して、最大400MBのディスク装置が3台分、メモリスロットが12個、NuBusスロットが5個も空いている。
 PowerBookは、マウスの代わりにTrackballをキーボードの前面に配し、手置きも兼ねたデザインが斬新である。ただし、ドラッグ中しか開かないMacのプルダウンメニューが仇となってちょっと使いづらい。たぶん親指のつけ根で下のボタンバーを押さえながら、トラックボールを廻すことになる。Windowsのように、開きっぱなしのプルダウンの方が、トラックボールでは使いやすい。StieveJobsがいれば、もっと斬新なデザインとしただろうし、改良の余地があると思う。富士通の親指シフトを見習ったのだろうか?
 少し前には想像できない光景であるが、Appleのブースに、PS/2が何台か置いてあり、DOS系パソコンとのネットワークやディスクレベルでの互換性を強調していた。来年は、IBMとAppleが共同ブースを持つのだろうか。

 今年のハードウェアの傾向はカラー化である。カラーコピア、フルカラープリンタがたくさん並んでいる。従来の神鋼電機、MITUBISHIに加て、Tektronix、IBM、JVCなどもフルカラープリンタを出している。液晶もカラーのノート型パソコンが参考出品としていくつかのブースに大切そうに展示してある。2日目からNECブースで展示された、98noteのカラー版はハードウェアの完成度はぴか一なので、話題となっていた。最新の技術が日本で先に「販売」されるケースは非常に珍しい。98だからできることだと思う。
 ディスプレイもフルカラーボードが氾濫していた。各社、TrueColor、24bitColor、、32768 Colors in Windowsなどと謳い、AldusのPhotoStylerなどがデモされている。
 スキャナもモノクロでは、展示するのがはずかしいような状態で、「CAT ColorConverter」というモノクロをカラー変換するスキャナとソフトのセットまで登場している。もちろん、自動変換ではないが、グレースケールは考慮している。

 変わったところでは、ページプリンタのコントローラメーカLaserMaster社が「WinJet/WinPrinter」という製品でWindowsDirectモードつまりGDIをプリンタ側でサポートしている。本体が386/33MHzで12秒で1頁を出力している。グラフやイメージ付きのデータである。Windows32でGDIは追加されるが、ROM交換で対応するのだろうか。

 日本のメーカは、ほとんどが部品のOEM商談中心の展示でなさけない。システムの意志を持った展示をしていたのは、JVCくらいである。JVCは昨年同様、マルチメディア中心の展示となっていた。富士通では、数年前傘下に入ったPocketPCを展示していた。裏面に「Made in Japan」とある。OASYSだけでなく、DOS版も早く出してほしい。
 東芝のブースも面白かった。ブースの一角に、ハードディスクの生産工場を型どり、ハードディスク型の紙箱を生産して配っている。大きく「Made in USA」とある。日本たたきを気にしているのであろう。先日、日本でもDynaBookVとして発表された386SL搭載のノート型が置いてあった。会場内のどのノータ型パソコンよりも完成度が高い。デザインにも無駄がないし、軽さもすばらしい。これで電池の寿命が伸びればヒット間違い無しの製品である。半分ジョークだが、画面もDynaBookより80ライン分大きくなっている。130MBの2.5インチ薄型ハードディスクや、日本では発表されていない、486、25MHzのノート型パソコンの展示されていた。
 小型化も例年の風潮だが、ノート型が多い。ラップトップ型も多数出展されていたが、数年前の旧式パソコンに見えてしまう。作られているパソコンメーカの方には申し訳ないが、ラップトップには誰も目を止めない。

 Comdexでは、周辺装置や部品などの展示も多いが、今年はマウスがやたらと目についた。GUI環境が定着し、多様化の時代に入ったようで、個人の趣味や手の大きさなどに合わせてマウスを選ぶことになりそうである。ノート型パソコン用の小さな、裏表で使えるものや、ケーブルなしマウス、そしてアンモナイト型、ドーナッツ型、象の足型、マウス型など様々である。マウス型は、本当にネズミの形をしていて、しっぽや髭までついている。

10月22日(火)

 午前中は、第2会場のSandsExpoCenterを見て回った。
 SoundBlasterのブースがすごい。シンガポールの新興サウンドボード会社が、SoundBlasterボードを使用したアプリケーションソフト会社約20社と共同ブースを出している。話題のMPC(MultimediaPC)対応のソフトや、ゲームソフト、「MasterTrackPro」などのWindows対応もある。興味を引いたのは、おなじみBroderband社の「LivingBooks」。Windows/ME対応で、カラーの絵本がしゃべり、音がでる。伸びるのはこのあたりであろう。
 MIDIの音楽ソフト「MidisoftSTUDIO」も話題である。Macによくある五線符が表示されて音楽を奏でるソフトで、MIDIのカード付きで$349.95。FM-TownsのWindows/MEでもそのまま動いている。

 グラフィックスソフトも充実してきた。ハードウェアのカラー化に対応して、フルカラーグラフィックスソフトが多い。Micrografixが「WindowsDraw」を$149の低価格で発表し人気を博している。アメリカらしい話だが、先行する「CorelDraw」に対抗して、隣のブースに陣取っている。Aldusの「PhotoSyler」、RIXの「WinRIX」、老舗のZSoftも「Publisher'sPaintblush」でフルカラーに対応している。
 小さなブースだが光っていたのがFractalDesign社の「Painter」。Water、Pencil、Crayon、Charlk、ArtBrushなどが選択でき、水彩画、油絵、トレースなどの風合いが出せる。印象派風の絵を、絵心を持った開発者の一人とおぼしき説明員がMacやWindowsで描いていた。社名もGood!。将来が楽しみな会社だ。

 LANでは、やはりNovellに勢いがある。会場のあちらこちらにNovellRedの「Novell Professional Developer」の看板が置いてある。Peer-to-Peerつまりサーバパソコン不要の小規模ネットワーク「NetWare Lite」が人気だ。買収したDigitalResearchのDR-DOS6.0をバンドルし、新製品特価$99で販売されている。これにEthernetアダプターやケーブルを含んだ「Ethernet StarterKit」の売り出されている。
 Windows対応のTCP/IPソフトや、FAXソフトもいくつか目についた。

 Sandsは第2会場のため、ベンチャー企業が多く、ハードウェアも斬新なものがあった。東洋系の会社で、SPARK/25MHzを搭載したノート型パソコンや、486DXのノート型も出ていた。信じていただけないかもしれないが、ダイナブックと同じ大きさである。
 プリントゴッコのRISOが「DigitalDocumentProcessor」と銘打って、i960 RISCチップを使い、MicrosoftのTrueImageを採用したプリンタを出していた。

 午後はCeaser'sPalaceで、ビジネスコンピュータニュース社主催の「BCN Windows Developer Conference」に参加した。NEC、富士通、東芝、AX協議会、WPMA、Windowsコンソシアムがブースを出し、米国のソフトウェア会社に対して、日本進出のためのアドバイスをする集まりである。NECブースにイーストの新製品である毛筆のフォントドライバとExcelのDDEに対応したカード型データベースを出展させてもらった。Adobeの人などが関心を持ってくれた。毛筆フォントのデータ形式はAdobeのType1をバイナリに落としたものを使っているが、TrueTypeはAdobeよりフォントデータのサイズが大きくなるらしい。富士通はTowns、東芝はDynabookVを展示していた。
 今回のような、米国のソフトハウスに日本進出を勧誘する催しが多い。来週はAXグループが西海岸でセミナーを行う。米国の1/20以下のWindows市場に対してわずらわしい日本語化を行って進出しても、米国のソフトハウスには、あまりメリットがないと思うのだが。それでも、パソコンメーカ側はWindowsアプリケーションのリクルートに余念がない。
 米国で、日本との技術の橋渡しを行ってる会社であるXLsoft、GlobalVision、PacificSoftwarePublishing、Xyron、MicroBurstなどの方々と会った。

10月23日(水)

 朝一番で、ここまでの原稿をSuperASCII 12月号に掲載するために、テキストファイルをFlamingo Hiltonに泊まっている、アスキーの方に渡した。パソコン通信で、ホテルの電話のモジュラージャックから直接、東京のセンターに国際電話をかけて送信するとのこと。地球も狭くなっている。
 午前中、Bally'sCasinoでマルチメディアを見た。IntelとIBM主催の「DVI Multimedia:ActionMedia On Stage」、IBMの「ultiMedia」、Microsoftの「Windows for Multimedia」そしてTandyの4ヶ所の共同ブースがある。良かったのはTandy。MPCをいちばんまじめに展示している。Windows/MEを使った楽しいソフトがたくさん出ていた。
 IBMのブースはみごとに「Windows」という言葉を一掃していた。「MPC」のロゴも使っていない。商標権の問題でもあるのだろうか。新しく「ultiMedia」という造語を作っている。まん中の「M」は、IBMの縞模様がカラーに衣替えしている。Windows vs. OS/2 戦争の余波で、MPC vs. ultiMedia となってしまうのであろうか。仕様もIBMが独自路線をとるのだろう。マルチメディアでもソフトハウスは、また面倒な移植作業を行うことになる。

 今回のComdexでは、マルチメディアとLANは特別テーマとなっており、集中した展示のため見やすい。LAN関係はMirageHotelだが、結局時間がなくて見れなかった。Comdexをゆっくり見るためには、4日間は必要だろう。今回は2.5日だったので、駆け足の見学だった。万歩計で計ってみたが1日20000歩近く歩いていた。場内も広いが、会場間も遠い。Sands、Mirage、Bally'sは各々2軒先のような位置関係だが、1軒のホテルが500mから1km程の敷地なので疲れてしまう。シャトルバスもあるがなかなか来ない。気長なアメリカ人は1時間でも待っているが、日本人はバスの列でみなため息ばかりついている。貸し自転車屋でもやれば儲かりそうだ。
 6ヶ所に分かれた展示会場の約80%を見たが、PCだらけである。Macは所々で見るだけ、NeXTはLotusのブースで「Improve」??のデモで1台見ただけである。PCのショウと錯覚を起こしてしまう。確かにSunもNeXTも出展しておらず、Comdexは昨年以上にPC主体の展示会となっている。
 PCの機種も気になって観察したが、PS/2とCompaqが各15%づつといったところ。ディスプレイで目についたのは、NEC MultiSync。出展されたPCの2割以上がこれを使っているように思えた。
 OSではDOSとWindowsが半々、中をぬってOS/2といった感じである。Microsoftはシャトルバスや、タクシーそして会場で毎日配布される「Comdex Daily」のビニールバックなどにWindowsの新しいロゴと共に「CountOn It」と書いて、宣伝しているが、数えきれないほどWindowsが動いていた。
 コンピュータ業界は昨年より景気が落ち込んでいるが、Comdexの入場者数も出展者数も昨年より多い。たぶんComdexに展示会を集中しようとする出展者側の思惑からであろう。それに、米国の展示会ではなく、Comdexは世界規模のショウとなっているため、年々海外からの出展も増えてきている。インド、イスラエル、カナダ、台湾などの共同ブースも出ていた。
 ブース内での集客イベントも年々派手になっていく。ボクシング、卓球などの試合をやったり、派手なエアロビスクやラップ、そしてTシャツや帽子を配っている。昨年、アタッシュケース型の段ボール箱を配布して好評だった某社は、今年はこの箱の配布のためだけに小さなブースを確保したようだ。商品を展示しなくても、この箱を入場者がもって歩いてくれるだけで、宣伝効果が充分あると読んだのであろう。
 説明員も日本のショウとは考え方が違っていて、本当の担当者が説明してくれる。小さな会社の場合は、「私が設計し、コーディングしました。」とすぐにわかる人がソフトウェアの説明をしているし、大企業でも開発やマーケティングの責任者がブースに立っている。日本のあのアルバイトの女性説明員というのは、そろそろやめにしてもらいたい。

 会場でもらったカタログ類をFederal ExpressのBOXに詰めて、日本へ送った。昨年、一昨年ともに、BOXを2個送ったが、ことしは、この原稿を書くためにカタログに目を通して不要なものは捨てたため、1個となった。FeDexのシステム化された合理性にはいつも感心する。数日で日本に届く。
 昼にはホテルを出て、空港へ。昨年と同じく、United AirlineのCターミナルでPizza Hatの小さな丸いピザとCoors Liteビールで昼食。サンフランシスコへ向かった。

10月24日(木)

 朝からBARTでBerkeleyへ、買い物。8月の「Windows 3.1 Developers Conference」のレポートにも書いたが、UCBの生協書籍部と、Cody's Booksでコンピュータ関連の本を購入した。
 Cody'sの書棚は20mほどがコンピュータ関係だが、その内4mがMac系、2mがUNIX系、4mがコンピュータサイエンス全般、そして残り10mがPC関連で占められている。Animation、Multimedia、Object-Oriented、C++などの本を買った。「Fractal Programming and Ray Tracing with C++」などという本まで売っている。これを出しているM&T Booksという出版社は、この他にもC++やObject-Oriented Programmingの本を沢山出していて、意志があってよろしい。英語の本がたくさん並んでいると、背表紙の下に表示されている出版社の「アイコン」を見てからタイトルを見た方が効率がよい。今までは「Microsoft Press」と「Addison Wesley」、時々「Wiley」だったが、これからは「M&T Books」も見ることにしよう。MSPressからは「Microsoft Windows Multimedia Programmer's Reference」も出版されていた。BerkeleyのTelegraph通りはいつも楽しく活気にあふれている。

10月25日(金)

 昨日の書籍につづき、今日はソフトウェアを購入した。Union Squareから2ブロックほどChina Town寄りの、Dulton Book Sellersの地下にある「Software ETC.」、Market St.の「EggHead(Discount)Software」に入った。この2軒ならホテルから歩いてもすぐに行ける。San Francisco郊外には、大規模なソフトウェアの小売り店や書店もあるようだが、車を借りなければならない。
 「Software ETC.」には、Comdexで目についた「Far Side」が、専用の展示ボックスに山積みされていた。これと、Windowsで世界地図の表示、検索を行う「World Atlas」、「SoundBlaster」ボードなどを買った。「EggHead」では、スケジュール管理ソフトの「OnTime」そして「Microsoft Entertament Packの第3集」を購入。
 持ち運びが楽な、薄くて安いソフトばかりを購入したが、どれも完成度が高い。GUI系のソフトウェアでは、「機能」よりも「完成度」が重要である。

10月26日(土)

 UA853便で日本へ。
 この原稿は、DynaBookを持参して、出張中に仕上げた。初期のDynaBookである。ワープロはイースト製の「アシストワード」、かな漢はROM辞書を使ったATOKだが、ATOKの英字入力中のビープ音には参ってしまった。時差ボケで、朝の4時から起きだしてキーボードを叩いたりすると、あのビープ音がやけに響く。隣近所の部屋にも聞こえる大きさだ。ご覧の通り英文の多い文章だし、いちいち漢字のON/OFF操作も面倒である。初期設定か何かで消せると思うが、マニュアルがないのでよくわからない。F1キーを何回も押してみたが、やっぱりHelpウィンドウは開かない。
 重いのと、空港のチェックも面倒だった。大きな荷物を引きずるのもたいへんなので、手荷物のみの旅であったが、機内持ち込みのチェックで引っかかり、必ず電源を入れてチェックされる。ボディをプラスチックにしたDynaBook V なら、X線も通ってしまうし、軽くなるのだが。このDynaBookが3kg、新製品のDynaBook V が2.2kg、やはり2kgをきってほしい。

 27日16:00成田着。Windows、Windows、Windowsの旅であった。


Kazuo Shimokawa [EAST Co., Ltd.]