Windows 2000 Conference & Expo 2000.02.15-17
 市内のショップでは

 発表の当日、午前中はBill Gates氏のキーノート・スピーチを聞き、午後は展示会を見てまわった。夕方、市内のショップでのフィーバー振りを見学に行った。

 先ずは展示会場があるMosconeに隣接する、SONYの複合娯楽施設METREONの中にあるMicrosoft直営のグッズ・ショップ「Microsoft SF」に行ってみた。Home、Entertainmentなどのジャンルごとに分かれた店内で、BusinessのコーナーにWindows 2000の3製品が置いてあった。しかし、別に特別の展示やイベントはなく、人だかりもしていなかった。むしろ、Palm PCコーナーに並んだ、HP、Compaq、CASIOのWindows CEパソコンが人気だった。
 特に、Compaqは非常に薄い。これは売れそうだ。先行したCasiopeaも、より薄い新製品を急がなければ!

 まあ、ここはWindowsロゴのTシャツや文具類の販売は中心なのでしかたなかろう、と自分に言い聞かせて、Marriott Hotelをすぎ、San Franciscoのダウンタウンを大きく斜めに横切るMarket Streetに出た。ここに、CompUSAがある。

マイクロソフト・グッズ・ショップWindows 2000のコーナーCEベースのPalm PC

 入り口に荷物を預けて(そうしないと、店内に入れない)エスカレーターで地下に降りた。CompuUSAは、数年前にオープンした.当時は入り口の一番良い場所に、Windowsホームソフトが並んでいたが、今は、Nintendo 64やPlay Stationのソフトがずらりと並んでいる。

 奥のWindowsソフト売り場に行ったが、Windows 2000が見つからない。私は、パッケージがうづたかく積まれた様子を創造していたのだが、唯一、見つけたのがいつもと変わらぬスペースにちょこんと置かれた、1セットのパッケージであった。しかも、周りはLinuxの囲まれている。価格は、219.99ドル。70ドルのリベートがあるので、150ドルくらいである。

 リベートは、米国で一般的なソフトウェアの販売方法で、購入者がパッケージ添付のシールなどに必要事項を記入してメーカーに送ると、ある金額がクレジットカードの口座などに振り込まれる制度である。ユーザの氏名や住所が判るので、ユーザの把握には非常に有効な手段である。

マーケットSt.にあるCompUSAWindows 2000はこれだけLinuxに囲まれている

 日本の秋葉原あげてのフィーバーぶりが嘘のように、CompUSAは静まりかえっている。Windows 98登場の際には、テレビでも大々的に放送されたが、今回はこちらのテレビでもほとんど放送されていない。NBCがBill Gates氏との単独インタビューを流していたが、CNNのヘッドラインニュースでも取り上げられなかったようだ。

 Windows 2000の登場は、10数年間全世界で使用されていたWindows 95/98系OSの終焉と新しいOSの登場を意味する大きなイベントなのに、この冷ややかさは何だろう。要因は二つあると思う。

 一つは、日本の騒ぎすぎ。これは仕方のないことだが、秋葉原村の村おこしのようなイベントになってしまい、Windows 2000がファッション化している。コンシューマ系のOSは、次にMilleniumが登場するが、これを待たずに、個人ユーザにもWindows 2000を使ってもらおうという、マイクロソフト株式会社の戦略と量販店の意向が相乗効果を生み出している。

 もう一つは、米国ではWindows 2000をNTの後継OSとして、ビジネス・ユースに限って販売しているようで、小売店とは無縁の世界で、Windows 2000は売れているからだと思う。米国にはピンとキリのUnixサーバがまだ幅を利かせていて、これらをWindows 2000で奪還する必要がある。ビジネス・ユースでの市場がまだたくさん残っている。もちろん、ピンはSolaris、キリはLinuxである。

 それに比べて、日本はマイクロソフト株式会社の強力な販売力で、Windows NTサーバが浸透しており、これ以上Windows 2000の売上を増大させるには、個人ユーザに売るしかない。これは悪いことではなく、堅牢なOSを家庭でも使ってもらうのは、非常に良いことだ。ということで、私も所属しているWindowsコンソーシアムで、そのお手伝いをさせてもらっている。

大型のCompUSAComputownは店じまいEgg Headは数年前に撤退、今はCellular ONE

 ついでに、サンフランシスコ・ダウンタウンのパソコン・ショップ事情をご紹介しておこう。数年前までは、Egg Headと、Dalton Book(書店)の地下のSoftware ETCくらいしか、パソコンショップがなかったが、Egg Headの目前に倍の規模のComputownが開店して、すぐにEgg Headは店じまいしてしまった。
 2年ほど前に、Computownの近くに数倍の規模でCompUSAがオープンし、今回、Computownが撤退した。CompuUSAも数年で、オンラインショップに客を奪われて、なくなるかもしれない。

 そして10年後、Market Streetの店は、Old Navyも、Vergin Megastoreも、Nordstromも、Macy'sもなくなって、Cyber Shopに移行しているかもしれない。インターネットで飢えはしのげないの、残るのは飲食店だけかな?


Kazuo Shimokawa [EAST Co., Ltd.]