コムデックス・エロチカ
1993年11月
 コムデックスでは、一般展示以外に、タイムリーな内容を「ショウケース」として、まとめて展示している。 今回もネットワーク、オフィスシステム、マルチメディアなどがグループ展示されていた。 一昨年、バリーズという大きなホテルの1階で開催されたマルチメディア・ショウケースは、昨年には規模が2倍に拡大し、今年はまた倍に膨らんだ。 そして、バリーズでは収容しきれなくなり、メイン会場の一角サウス・アネックス全体を占めるまでに成長した。
 そして、今年は期待通りというか残念ながらというか、エロチックなCD-ROMタイトルが多数出展された。 CD-ROMショップが4、5店出展していたがそこには、しっかりたくさんのタイトルが並んでおり、コムデックス特価で販売されていた。 きれいなウォールペーパー用のカラービットマップ集から、最新のデジタル・ビデオ製品まで、50種類以上もある。
 PCマガジンなどの雑誌の広告に載っているが、CD-ROM以外に、パソコン通信でのデータ送付も行なわれている。 その種の情報交換のためのチャタリングや、トーナメント・ゲームそして、SanFrancisco Gay Men's Online Service なんていうパソコン通信まである。
 製作会社も5社ほどが出展していた。 すべて、デジタル・ビデオ製品である。 VideoVivid社はIBM PCを使用しオリジナルの再生ソフトで速送りやストップが可能で、簡単なメニュー検索で、目的の画面や形を検索できるようになっていた。 CompoNet社も、IBM PC用で、こちらは単にビデオをCDに入れ換えただけの簡単なもので、影像を流し続けるものである。 両社ともIBM PC系のマシンであれば、どれでも動く独自の動画再生ソフトを入れているのであろう。 この種のCDは、目的が明確なので、Windowsとか、QuickTimeとかを必要としない方が、売りやすい。 また、余計な処理を行なわない分再生に専念できるので、画面もVGAのフルスクリーンを使っている。 いちいちハードディスク不要と断り書き付きのCDもある。 サウンドについても、ボードがあれば音が出ます程度の記述となっており、IBM PCのミニマム構成に、CD-ROMドライブだけ追加すれば楽しめます、という訳である。 
 InterActive社は、今や単なる古典でしかない「ディープ・スロート」や「ミスジョーンズの悪魔」をCDに収めている。 後者はVideo for Windows対応となっていた。
 PiXiS社は、新製品として、一種類のCD-ROMだけを展示していた。 先ず3人から相手を選択する。 次に「プロフィール」、「Q&A」、「スタート」を選択する。 「プロフィール」は実際に彼女が動きながら、自己紹介をしてくれる。 「スタート」でいわゆる野球挙の開始である。 画面にグー、チョキ、パーのアイコンが表示され、マウスで選択して、画面側の相手のランダムなジャンケンと競うわけである。 ちゃんと相手の手がグー、チョキと変わる。 マルチメディアといてもこの程度のインタラクティブしかやっていない。 再生はアップルのQuickTimeを使っていた。 アダルト物もすでに興味が一巡しており、このようなインタラクティブを追及した物に変わりつつある。
 最後はハードコア。 さすがに、画面を内側に向け、ブースの中に入らなければ見えないようにしていた。 3枚でコムデックス特価の99ドル。 日本人ではなかったが、東洋系の人が堂々と8ミリビデオに収めていた。 これも、QuickTimeを使っている。 QuickTimeは、Windows版とMac版があり、うまく作れば1枚のCD-ROMで2機種に対応できるので、都合が良いのであろう。 しっかりアップルのQマークまで付いている。 マクロマインド社のDirectorやAutherwareを使って作成するのであろうか。
 会期中に、SyberSexと題するプレス・コンファレンスも開かれ、エロ事師たちは元気が良い。 
 この種のCDも、既存のデータを使った静止画やたれ流しの動画は需要が一巡しており、会話機能を駆使し、新規にデータソースを撮った製品が出現しつつある。
 夜のラスベガスには、リアル・エロチカが溢れているが、昼間もバーチャル・エロチカを見せられるのはチョットつらい。

【写真1】
 会場内の、CD-ROMショップの店頭写真。
 さすがに、パッケージはどれもおとなしい。

【写真 四角い写真の枠だけを描いておく】
 これが噂のハード・コア
 (この写真は、編集部の指示でボツとなりました。 残念、残念。)