旅の記録 COMDEX Fall '98
 次世代フロッピィ・ディスク

 3.5インチのFDが登場したのは、SONYの製品をAppleがLisaで採用してからであるので、20年近くが経過している。その間、ハードディスク(HD)は5MBから4〜8GBと1000倍以上の発展を遂げた。FDは、媒体価格こそ1200円から30円と40分の1に下がったが、パソコンに固定化されたHDとは異なり、流通性や保存性、そして、供給媒体としてのCD-ROMの普及がネックとなって、なかなか次の提案がなされなかった。

 次世代FDの開発競争は昏迷を深めている。先ず、iomega社(http://www.iomega.co.jp)が100MBのzipで先陣を切り、2GBの取り出し可能HDであるjazでとどめをさしたかに見えたが、パソコン本体への標準添付には至らなかった。

 Comdexでは、Imation社(http://www.superdisk.com)とMaxell社(http://www.maxell-data.comhttp://www.maxell.co.jp/products/cp_med/sp_diskfaq.html)のSuperDiskと、SONY(http://www.world.sony.com/electronic/HiFD/select.html)、Alps、富士フィルム(http://www.fujifilm.com)、TEAC(http://www.teac.co.jp)という豊富なOEM実績を持つ日本のFDメーカが共同提案している、HiFDが目を引いた。前者は120MB、後者は200MBで、いづれも既存の1.44MB FDからの上位互換を持っている。SupreDISKは昨年提案されたものだが、ドライブは100ドル、媒体は1枚15ドル程度で市販されている。HiFDは、アクセス速度もFDの10倍だし、名称も明瞭でなかなか良い。SONYは外付けドライブを製品化し、TEACは高さ1/2インチのノートパソコンにも使える薄形ドライブを出している。早く普及してもらいたい。

 デジカメの爆発的な普及で、100〜200MBの保存用媒体の必要性は、日増しに高まっている。標準化に向かってSupre DISKとHiFDはComdexで火花を散らしており、会期中に発行される日刊紙Comdex Dailyには、SONYとFujiFilmが3ページ、MaxellとImation社が2ページの全面広告を出していた。世界中から、プロのコンピュータ関係者が集まるComdexは、このような次世代部品のプロモーションの場としては最適である。

  

 Iomegaは、zipを小型化したclik!という2インチの小さな製品も発売している。こちらは40MBである。媒体の価格も問題だが、zipもclik!も10枚で100ドル程度である。click!のUSB対応版をNECが参考出展していた。話題のSVGA Windows CEパソコンMobile Pro 800の脇にちょこんと置いてあった。NECは、最近USB対応の小型スキャナを日本で出荷したが、小型のUSB対応製品をいろいろ考えているようである。NECがUSBなら、SONYはi.Linkということで、SONYはAV機器をIEEE1394で結びつつある。

 一時、自社のパソコンWoodyに、CD-ROMとドライブ互換があるPDを標準搭載していたPanasonicのブースには、DVD-RAMが展示されていた。片面2.6GBである。ドライブの前面にはしっかり、DVD-RAM/DVD-ROM/PD/CD-ROM/CDと書かれていた。

Kazuo Shimokawa [EAST Co., Ltd.]