Seybold Seminars 1999.08.29-09.02
 電子書籍の歴史

電子書籍の未来を考える為の、グーテンベルグ印刷から「銀河ヒッチハイカーズガイド」まで、出版・著作・コンピューティングの歴史。

 

We begin ...

 
 

1455-

Johannes Gutenberg が活版印刷を開発。この技術により、手書きの筆写に比べて僅かのコストで高品質の印刷物を量産することが可能になる。グーテンベルグ印刷機による最初の本は「グーテンベルグ」42行聖書。
 
  1490- Aldus Manutius がベニスで Aldine Press を設立。
 
  1570- Abraham Ortelius が最初の近代的地図帳 Theatrum Orbis Terrarum を作る。近年、議会図書館の American Memory Project によってこの地図帳の70枚の地図がデジタル化されて eBook となり、Web公開された。
 
  1720- Alexander Pope が Iliad の翻訳により 5,000L の資産を得て、最初の成功した作家となる。
 
  1840- パルプ紙が初めて商業生産される。
 
  1883- Tolbert Lanston がモノタイプと呼ばれる最初の機械的植字機を作る。この発明以前には植字は手作業で行われ、1時間に約2000文字だったが、モノタイプにより6000文字が可能になった。
 
  1938- H.G. Wells が World Brain を著す。The World Brain は Wells の考える未来の百科事典で、あらゆる人類の知識が広範に印刷されており、それを作る会社が新たに知識と教育の中心組織となっている。
 
  1945- Vannevar Bush が memex と呼ばれる装置の登場するエッセー As We May Think を著す。memex は机のサイズで、本や他の資料がマイクロフィルムに収められており、文書の一節同士をリンクさせることができる。
 
  1965- Ted Nelson が hypertext という新語を造る。彼は後に、世界中の作品が誰でもアクセスできる保管庫に永遠に保管されているという理想郷プロジェクト Xanadu について書くことになる。
 
  1965- メディア予言者 Marshall McLuhan が電子と書籍との合併による大きな衝撃とその潜在的な利益を予言する。
 
  1968- Alan Kay が100万画素スクリーンのコンピュータ Dynabook のボール紙模型を造る。Kay はこの予言的装置を「紙を越えるもの(something more like superpaper)」と呼んだ。
 
  1971- Michael Hart がイリノイ大学で「独立宣言」をタイプした。こうしてフリーのコンピュータ古典ライブラリであるグーテンベルグプロジェクトが始まる。今日、グーテンベルグコレクションは2000作品を越える。
 
  1979- Doug Adams がSF小説「銀河ヒッチハイカーズガイド」を発表。主人公の Ford Prefect は Hitchhiker's Guide という電子書籍を求めて銀河を探索する。
 
  1981-

The Random House Electronic Thesaurus が(多少の異論はあるだろうが)世界最初の商業ベースの「電子書籍」である。
 

  1986- Franklin Electronic Publishers が電子辞書をハンドヘルドデバイスに搭載し、最初の携帯型eBookとなる。
 
  1990- Barnes & Noble が最初のスーパーストアを開店する。
 
  1991- ソニーの「データディスクマン」が3.5インチスクリーンでCD-ROM書籍を表示。
 
  1995- Amazon.com が印刷した書籍をWebで販売開始。
 
 
 

We begin again ...

  2000- Microsoft Reader with ClearType によりスクリーンでの読書の新しい時代がを開かれる。
 
Dick Brass [Microsoft]/Translated by M. Shibuya [EAST]