こんにちは、Sitecore技術担当の山田です。

Sitecoreを便利に使いこなすためのカスタマイズに困ってませんか?
そんな方のために、Sitecoreのカスタマイズに役立つ情報をご紹介します!

今回ご紹介するのは、入力したMarkdownをHTMLとして表示するMarkdownフィールドの簡単な実装方法です。
ちなみに弊社のブログの記事も、このMarkdownフィールドで編集できるようになっています。

実装方法

1. フィールドタイプアイテムの作成

以下の場所にフィールドタイプのアイテムを作成します。

  • データベース: core
  • パス: /sitecore/system/Field types/Simple Types


Single-Line Textアイテムを複製して、アイテム名をMarkdownに設定してください。
さらにControlフィールドにcontent:Memoと入力しましょう。

これで、テンプレート作成時にMarkdownフィールドを選択できるようになります。

2. プロジェクトの作成

.NET Frameworkのクラスライブラリのプロジェクトを作成して、参照に以下の2つを追加してください。

Sitecore.Kernel.dll
Sitecore MyGetからインストールできます。
ウェブサイトの/binフォルダにあるものと同じバージョンを使用してください。
Markdig.dll
MarkdownをHTMLに変換するために使用するライブラリです。
Nuget{target="_blank"}からインストールできます。

3. パイプライン処理の実装

Sitecoreにはフィールドが描画される際に呼び出されるrenderFieldパイプラインが用意されています。
このパイプラインに「Markdownフィールドなら値をHTMLに変換する」という処理を追加します。具体的な実装は以下の通りです。

public class GetMarkdownFieldValue
{
    public void Process(RenderFieldArgs args)
    {
        // markdownフィールドのみ処理
        if (args.FieldTypeKey != "markdown")
        {
            return;
        }

        // エクスペリエンスエディターでの編集を無効化
        args.DisableWebEdit = true;

        // MarkdownをHTMLに変換
        args.Result.FirstPart = Markdig.Markdown.ToHtml(args.Result.FirstPart);
    }
}

args.FieldTypeKeyプロパティで、フィールドタイプアイテムのアイテム名を取得できます。
アイテム名は小文字になっているので注意してください。

args.DisableWebEditプロパティで、エクスペリエンスエディタでの編集の有効化/無効化を設定できます。
HTMLに変換したあとの値を保存してしまう問題があるので、エクスペリエンスエディタでの編集は無効化します。

args.Result.FirstPartプロパティには、最終的に描画されるフィールドの値が入っています。
Markdownのテキストが入っているので、HTMLに変換した値に書き換えます。


ここまで実装したらプロジェクトをビルドし、プロジェクトのアセンブリとMarkdig.dllをウェブサイトの/binに配置してください。

4. パイプライン処理とフィールドタイプの登録

実装したパイプラインとフィールドタイプをconfigで設定します。
ウェブサイトのApp_Config/Include以下に適当なconfigファイルを用意して、以下の内容を記述してください。

<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<configuration xmlns:patch="http://www.sitecore.net/xmlconfig/">
  <sitecore>
    <!-- フィールドタイプの登録 -->
    <fieldTypes>
      <fieldType  patch:before="fieldType[1]" name="Markdown" type="Sitecore.Data.Fields.TextField,Sitecore.Kernel" resizable="true" />
    </fieldTypes>
    <!-- パイプラインの登録 -->
    <pipelines>
      <renderField>
        <processor patch:before="processor[3]" type="{名前空間}.GetMarkdownFieldValue,{アセンブリ名}"/>
      </renderField>
    </pipelines>
  </sitecore>
</configuration>

{名前空間}{アセンブリ名}には、作成したプロジェクトのものを入力してください。

5. 動作確認

実際にMarkdownフィールドを持ったテンプレートを作って、表示を確認してみましょう。
正しく実装されていればMarkdownがHTMLに変換されて表示されるはずです。

HTMLに変換されない場合や例外が発生する場合は、configが正しく記述されているか一度確認してみてください。

おわりに

いかがだったでしょうか。
簡単な実装例ですが、応用次第ではMarkdownフィールド以外にも様々なフィールドタイプを実装できるかと思います。
フィールド入力欄のUIもカスタマイズ可能なので、またの機会にご紹介します。

ブログの感想やSitecoreに関するお問い合わせがありましたら、こちらからご連絡ください。

それでは!