Font

国際的フォントコンペで金賞受賞
期待のエースに聞くフォント制作

T.Y 第4事業部 / リーダー

specialist 07

今回は特別版をお送りします!弊社エンジニアT.Yが「モリサワタイプデザインコンペティション 2024」和文部門で金賞を受賞しました!!インタビュアーT.K/M.Y(※以下、デザイン室)とイーストのスペシャリスト社員T.Yとの対談形式でお送りします!

モリサワタイプデザインコンペティション・・・株式会社モリサワが主催する、書体(タイプフェイス)デザインに特化した国際的なコンペティション

小学生の頃から文字に夢中
本格的に学びはじめた大学時代と制作過程まで

金賞受賞、本当におめでとうございます!

ありがとうございます!

では早速ですが、フォントに興味を持ったきっかけを教えてください。

小学生の頃から漢字・文字が好きでした。クラスに一人はいる、漢字博士のようなタイプで、まさにそのタイプでした。漢検も二級まで取得したりしまして。特に漢字や文字そのものの形に興味がありました。当時、祖父がワープロを使っていて、そのワープロには数種類のフォントが選べる機能があり、同じ文字でも形が違うことが面白いと感じました。さらに、5000円くらいでフォントを作れるソフトがあり、それで遊んでいました。そんな子供だったので、親がレタリング教本を買ってきてくれました。

素晴らしい親御さんですね!そこからますますフォントにのめり込んだのでしょうか。

はい。中高は寮生活で、スマホやPCは持ち込み禁止でした。週末に家に帰るとインターネットでフォントの情報をまとめて収集していました。文化祭ではパンフレットやポスターを作ることがあり、頼まれて文字を書いたりしていましたね。

フォントへの愛が伝わってきます。自然にフォントを作りたいと思うようになったのでしょうか。

そうですね。本格的に制作を始めたのは大学に入ってからです。情報系だったので、PC購入が必須で、迷わずMacを選び、フォント作成用ソフトも購入して、制作環境を整えました。大学1年の時に初めて今回のコンペに応募しました。お試しだったので、もちろん結果は出ませんでしたが。その後、フォントの展示会に行ったときに、フォントを作る塾(※)があることを知り、学生時代に2回通いました。

※文字塾:鳥海修氏主催の塾で、1年制/月1回の授業開催。フォント作成の基本を学んで、オリジナルのフォントを指導してもらいながら作成することができる。

既に大学1年生の時にコンペにチャレンジとは・・すごいです!金賞を受賞したフォント「くろむぎ」の制作過程について教えてください。アイデア出しから制作期間を含めて知りたいです。あと、文字塾で作成されたフォントでしょうか。

制作期間は半年ぐらいです。あまりスケッチはしないタイプですが、まずレシートの裏などに一文字スケッチをして、それをソフトで調整して完成させます。その後は雪だるま方式で増やすイメージです。土日に数をたくさん作って、平日は夜帰って、土日に作成したものを修正するというルーティーンで作成しました。コンペでは漢字・ひらがな・カタカナを含め約200文字制作する必要があります。アイデアに関しては、アイデアストックがあって、その中から選びました。「くろむぎ」は3年ぐらい頭の中で温めていたアイデアで、具体的に形に落とすまで構想(妄想)はしていました。自分の力を試したいので、コンペはいつも完全な自分オリジナルのフォントです。今回は4回目の挑戦だったので、本当に嬉しかったですね。

金賞受賞の「くろむぎ」制作の裏側
コンペを勝ち抜く戦略とは

毎回オリジナル!「くろむぎ」についてもっと教えてください。シンプルで、文字そのものの美しさが引き立つ素晴らしいフォントだと思いますが、なぜこのフォントを作成しようと思ったのでしょうか。過去の3回の応募の時より自信はありましたか。

「くろむぎ」は素直な形だったので、数を増やす時に広げやすくて。戦略的な部分もります。和文の太い書体は、かすれがあり、ディテールが細かくて、コテコテの和的なものが多いんです。「くろむぎ」はその逆にしてみました。筆の感じは残しつつ、線を単純化しました。制作中に手応えは正直感じました。ただ、出してみないと分からないのは毎回そうですね。実は2回目に応募した時は最終選考まで残りました。でも3回目はダメで。

戦略的な部分とても興味深いです!では、今後の展望と、T.Yさんにとってフォントとは何かを教えてください。

まず「くろむぎ」の文字数を増やしたいです。まだ200文字ぐらいなので。完成したら、どこかに買ってもらうか、自分で販売できたら嬉しいですね。まだ作りたい書体がたくさんあるので、これからも制作を続けたいです。フォントとは何か、ですか。うーん、考えたことがなかったです。そうですね、唯一の趣味というか、フォントに関しては全然飽きないです。

T.Y 第4事業部 / リーダー

Career story

新卒で入社。公共系・業務系システムの開発を中心に、Webアプリケーション・モバイル/タブレット向けアプリケーションの様々な案件に参画。またフロントエンドとバックエンドを横断的に担当する。仕事の速さと人当たりの柔らかさに定評があり、プロジェクトリーダーとして早い段階で頭角を表す。要件定義から運用・保守までの開発ライフサイクルを幅色く経験しており、内外で頼りになる存在として活躍中。プライベートで取り組み続けたフォント制作で金賞受賞。

フォント作りとエンジニア(仕事)との共通

正直、趣味の領域を超えていますね。イーストではエンジニアとして働いていますが、フォント作りと共通することなどありますか。

忍耐力でしょうか。同じフォントを、時間をかけて制作するので、ずっと向き合うことになります。仕事も同じプロジェクトに長期間携わることが多いので、その過程は同じです。自分はフォント以外あまり趣味が続いたことがなくて。でもフォント制作で「あ、忍耐力意外にあるな!」と思えました笑。フォントも仕事で制作するプロダクトも完成を目指してコツコツ色々な作業を進めていくので、忍耐力は必須です。フォント作りで培った忍耐力、加えて集中力でしょうか。そのあたりは仕事でも役立っているなと感じています。